London Business School のSloanプログラムの最後の授業として、私はサウジアラビア訪問を選択しました。授業のテーマは、経済成長。
私が選べる行き先としては、他にもサンフランシスコ(IT)、ニューヨーク(金融)、パリ(ブランド)、アルゼンチン(混乱への取り組み)、南アフリカ(スモールビジネス勃興)、など、面白いテーマが目白押しでしたが、なぜサウジアラビアを選んだのかを一言で言うならば、何が起こるかイメージが出来ない「ワクワク感」を期待したからです。
結果は期待通り、というよりも、期待以上でした。自身の学校生活の最後を飾るに相応しい素晴らしい1週間を過ごす事ができました。
サウジアラビアへのイメージ
サウジアラビアへ行くと他人に伝えた時の反応はある程度決まっています。「え?大丈夫なの?」です。何に対して心配をしてくれるのかと言うと、
・外国人に対してネガティブなのではないか
・危険なのではないか
・食べ物は大丈夫か
・アラビア語を話せないと厳しいのではないか
というのがメインです。これらのイメージは、日本人に限りません。自分の体験を通じて、ひとつずつ検証していきましょう。
外国人に対してネガティブか
私の1週間を通じて、ネガティブな印象は受けませんでした。というよりもむしろ、すごく気を遣ってくれます。親切な人が多いと感じました。
危険なのではないか
むしろ安全です。スマホを取られたりすることもないし、怪しい雰囲気の場所も少ないし。ロンドンと比べると、かなり安全だと思います。
食べ物は
各国の食べ物が揃っていますから、何も困りません。安い食堂から、高級レストランまで揃っています。
アラビア語は必要か
話せた方が良いのでしょうが、話せないとやっていけないような国ではありません。英語話者がたくさんいます。
サウジの経済成長
活気が違います。大きく都市発展を続けています。こんな暑い場所なのに冬季オリンピックが決まりました。また、先日はワールドカップの開催も決まりました。eスポーツの世界大会でも主導権を握っています。様々なプロジェクトが進行中です。
経済成長を支えるもの:リーダーシップと組織
様々な省庁を巡りました。そこで感じたのは、この国はまるでうまく経営されている会社のような感じだな、ということです。君主制によりリーダーが明確です。リーダーシップにより、ビジョンと戦略がしっかり定まっています。そのビジョンと戦略が各組織に定着し、全組織が方針展開する形で戦略を実行しています。
戦略を支えるもの:世界のベストプラクティス
各省庁で説明してもらえる戦略が極めて明確でかつ包括的。なぜか?もちろん、国のリーダーシップチームが優秀だから、というのは間違いないでしょう。加えて、トップコンサルファームとタッグを組んでいることもあげられます。他の国よりも、おそらくコンサルファームの関わりが深いと思います。かなりの金額をトップコンサルファームに払うことで、世界中のベストプラクティスを吸収している、と理解しました。
お金を支えるもの:オイルマネー
これらの活動をオイルマネーが支えています。しかしここで勘違いしてはいけません。オイルマネーは成長の一つの要素でしかありません。なぜなら、オイルマネーや資源が豊富であってもうまく行っていない国は、いくらでもあるからです。お金と戦略がうまく機能しています。会社で例えるなら、キャッシュカウである資源でお金を稼ぎ、そのキャッシュを次の成長が見込める分野に投資しているのです。
ワクワク感
どの国にも課題はあります。でもこの国には希望があります。人々は明るい未来を確信しています。だから、表情が明るいし、自信に満ち溢れています。少し客観的に見れば、ツッコミどころはあります。でも、そんなの気にしないんです。日本の高度経済成長期はこんな感じだったのかな、と想像しました。
サウジ、非常に興味深い。今年1番、面白いと感じた領域でした。
