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デジタルストラテジー1:プラットフォームがもたらす外部性とその設計

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今日から新しい選択科目です。前評判の高い教授でしたが、期待を上回る素晴らしさでした。授業の仕方もうまいし、知識経験も豊富だし、非常に知性的だし。あと全然関係ないけど、太陽とひまわりがモチーフのかわいいデザインのTシャツを着ていて、これも高評価。

技術の理解のしやすさと適用のしやすさは違う
世の中にはいろいろな技術がありますけれども、その技術自体の複雑さと、その技術を現実に適用する際の複雑さは異なります。例えばブロックチェーンはそもそもの構造を理解するのがとても難しい。でも理解すれば、現実世界に適用するのはそこまで複雑ではない。
しかし世の中には、この逆パターンがあります。その技術の構造を理解するのはそこまで難しくないが、それを実践しようとすると難しい技術。その一つが両面市場の経済学です。

両面市場とは
両面市場は、二つの異なる利害関係者グループが互いに依存しながら、プラットフォームを介して相互作用する市場です。この市場のポイントは「外部性」にあります。一方のグループの参加がもう一方のグループの価値に直接的な影響を与えるネットワーク効果がある、ということです。授業ではUBERや出会い系アプリのTinderを取り上げました。

プラットフォームビジネスとの違い
「なんだ、プラットフォームビジネスのことか、勝者が総取りするとか、ネットワーク外部性とか、そういう話か」って思う人もいるとは思うのですが、漠然とは語れても、具体的に語れる人っておそらくあんまりいないんですよね。両面市場とはプラットフォームビジネスの一形態ではありますが、間接的ネットワークの効果を重視します。

両面市場は何を解決するか
ストラテジーのクラスでは、「事業を定義せよ」「競争関係を定義せよ」「顧客のペインポイントを定義せよ」というようなことを習いますが、このデジタルストラテジーでは「摩擦の解消」という言葉で説明しています。両面市場で解決するのは摩擦である、と。摩擦とは何を指すのか、配車アプリのウーバーと、出会い系アプリのティンダーで考えました。

ウーバー
ウーバーが解決した摩擦は、タクシーを探す手間、まともな運転手を探す手間、予約する手間、現金支払いの手間等。特に支払い方法の手間(摩擦)が面白い。顧客としては従来なら、①いくらかかりそうか概算 ②それにチップをかけて ③その現金があるかどうかを確かめて という手間が必要です。運転手としては、もし現金が無かったら最悪無賃乗車になったり、渋滞の中でATMに行かされて、他の乗客を乗せる機会損失になったり。このように、ドライバーと乗客の間の摩擦を解消したのがウーバーです。

ティンダー
今の30歳未満の人はほぼ出会い系アプリを使っているそうです。出会い系アプリが解決した摩擦は何なのか?「お断りされる恐怖と自尊心の低下」だそうです。なるほど。物理的に出会ったら声をかけるのをためらいます。それはなぜか?お断りされるのが怖いから。アプリの出現で、この恐怖が一気に解消されました。また、ティンダーというアプリでは、「お断りされたことがわからない」設計になっており、これが革新的な機能なのだそうです。

ちょっと脱線
この「お断りされる恐怖と自尊心の低下」という話は非常に面白かった。「この恐怖を乗り越えてこそ人間としての成長だ」みたいな論調もある一方で、「いやいや、生きるのに不要でしょ、そんな恐怖は」という言い方もある。そうですね、人間は便利になる方向に進化するのだから、ストレスをどんどん解消していくのが、この先も主流なのだろうな、と感じた次第です。

摩擦のまとめ
両面市場が解消すべき摩擦は以下のとおり。
・取引に関する摩擦:探す手間、情報を集める手間、見つける手間
・交換に関する摩擦:情報の非対称性、信頼性、コミュニケーションの効率性、配達・配送

両面市場が及ぼす効果
ウーバーというプラットフォームを使う効果を考えてみます。
・ドライバーと乗客のどちらにも及ぼすポジティブな効果として、ドライバーも乗客も、よりウーバーを使おうというインセンティブが働きます。
・ドライバーへのポジティブな効果は、レビューシステムによる乗客情報の把握
・乗客へのポジティブな効果は、シェア乗車(=安く目的地に行ける)とか、レビューシステムによるドライバー情報の把握
・ネガティブな効果は、競争の激化です。

ポジティブは意図的に、ネガティブは自然発生的に
両面市場に限らないとは思いますが、ネガティブな効果(例えば競争激化)というのは放っておいても出てきます。そしてポジティブな効果というのは、その市場を上手に設計しないと出てこない、という話がありました。これは人間の心理でも同じだと思います。ネガティブな感情は自然発生しますから、いかにポジティブな効果を意図的に発生させる仕組みを自分自身の脳内や活動ルーティンに組み込むか、それが大事。

プラットフォームを作ることによる相互作用、面白いですね。これまで学んできた意思決定理論(いかに最善の自分になるか)、ゲーム理論(相手がどう反応するのか、にどう反応するか)、と組み合わせて考えると、いろんなことがつながりそうな気がする。

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