さて、私の選択科目の一つである企業再生のクラスが始まりました。企業再生は、財務的な困難に直面した企業を救うために迅速な行動が求められます。しかも、だいたいの場合、複雑。
このクラスの目的は、成功事例やベストプラクティスのケースを理解することで、複雑で困難な企業再生をどう進めればよいのかの道筋を見つけることです。今回の授業では企業再生において考えるべき基本的なポイントについて解説されました。
1.警告サインを早期に認識すること
企業再生における最初の重要なステップは、会社が経営危機に陥っていることを早期に認識することです。それは何か。利益率の低下や負債の増加、予算未達など候です。この段階だと、経営陣は問題を否定しがちです。が、問題を認識せず放置すると、資金繰りをはじめとした財務的困難となって表れてきます。
これは企業再生の授業ですから、この授業中に「なぜ経営陣は早期に手を打たなかったのか」という論調になるわけですが、まあ、日常のビジネスの中で考えると、気が付かないことも多ければ、気が付いたとしても行動に結びつかないことも、多々あるだろうなあ、と思います。
2.即時の資金管理
再生の最優先課題は、資金繰りです。企業は利益が不足して倒産するのではなく、キャッシュが足りなくて倒産します。したがって、資金の流れを確保し、支払いの優先順位を明確にし、非中核資産を売却して資金を調達することが重要。短期的な解決策に頼るのではなく、長期的なキャッシュ管理を徹底することが、再生の成功につながります。…というのが教科書的な回答です。まあ、その通りなんだけど、なんでもともとそうしなかったのか、の分析と対策のほうが、大事だと思います。
3.事業の存続可能性を評価する
即時の資金危機を安定させた後、次に行うべきは事業の存続可能性の評価です。企業に利益を生む中核事業が残っているかどうかを見極めます。もし、存続可能な道筋がない場合は、清算を検討します。存続可能な中核事業がある場合、その事業を活用した現実的な再生計画を策定します。
4.バランスシートに注目する
多くの企業再生のプロが強調するのは、キャッシュフロー管理だけでは企業を救えず、バランスシートの再構築に焦点を当てることが重要、ということです。企業には「埋もれた財産」がバランスシート上に存在することが多く、これを見つけ出し、活用することが再生に大きく貢献します。これにより、単なるコスト削減や売上増加よりも大きな効果を得ることができるのです。
これは至言だなと思いました。企業再生ってだいたいコストカット、販売増、非中核資産の売却、みたいなことを思いつきがちですが、その会社が保有している本当の価値はバランスシートに眠っており、そこに気づくことが重要、だと。あと、よい人材がいるのかってのも、大事でしょうね。
5.ステークホルダーとの連携と債務交渉
企業再生は内部的な対策だけでは不十分です。特に債権者を含む外部のステークホルダーとの連携が鍵となります。債権者との信頼関係を構築し、必要な譲歩を引き出すためには、透明性のあるコミュニケーションが不可欠です。場合によっては、債務を株式に転換するなどの再構築策が必要になります。
6.経営陣の立て直し
再生過程において、現時点の経営陣の信頼性が問題視されます。企業再生のプロは、経営陣の信用を取り戻すために、自らリーダーシップを取るか、経営陣を指導する必要があります。
こう考えると、ターンアラウンドマネージャー(企業再生のプロ)って、とんでもなく難しい仕事ですよね。
7.資金調達可能なビジネスプランの策定
再生計画は現実的かつ資金調達可能でなければなりません。市場の需要や競争環境、企業の財務制約を慎重に評価し、それに基づいて現実的な目標を設定する必要があります。また、再生計画を実行するための運営管理も確実に行わなければなりません。資金調達が可能なプランだけが、再生プロセスを成功に導きます。
さらっと書いてますけど、めちゃ難しいですよね、これ。
8.ケーススタディ: Conergyの教訓
かつて太陽光産業のリーダーであったConergyのケースは、企業がどのようにして成功から破綻の危機に陥るのかを説明していました。拡大路線を取りすぎ、資本管理が不十分で、市場の変化に対応できなかった結果、Conergyは資金繰り危機に直面しました。複数回の財務再構築と運営の見直しが試みられましたが、市場の外的要因と内部の誤管理により、再生は成功しませんでした。
いやあ、企業再生の授業はしんどいですね。ちょっとしたことから経営危機が起きることって容易に想像できるだけに、いかに企業経営が水物か、そして、経理として会社を支えることの責任の重さに心が重くなります。純粋に楽しめる授業ってのは、あくまで他人事だからなんだなって感じました。ケースを自分事に感じる授業は、重い。
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