なかなか読み進みませんが、『一神教全史』から。宗教史の全体像をつかみにいきます。
宗教対呪術
共同体から疎外される人間がたどり着く先が呪術です。宗教が、構成員全員にとってのファンタジーであるのに対して、呪術は個人にとってのスピリチュアル。前者は表の世界、後者は裏の世界です。また、前者は法:言語の世界、後者は魂:精神の世界です。
宗教はどこから
“おそらく疑い得ないのは、宗教が死についての思索から生まれた“
ですよね〜。死を身近に感じると、なぜ自分はまだ生きているのか?考えます。でも考えても当然答えはない。考えてもキリがないので、宗教という超越的な存在にお任せする、というのはわかります。
宗教史の4段階
①原始:祖霊崇拝
死後、祖霊が子孫を見守り、食物を安定してもたらすという考え→狩猟採集→地縁血縁→祖霊崇拝。共同体の長は呪術的・シャーマニズム的手法で、自身が祖霊の継承者であることを演出した。
始まりは身の周りから、ということですね。会社も同じですよね。最初から大きい会社なんてなくて、世の中に広く受け入れられる(=需要)と大きくなり、地元を超え、地域を超え、国を超えていく。
②古代:多神教
農業により人口増加→定住→領土拡大のための戦争→国家の出現と、王・貴族・平民・奴隷という身分制度。多種多様な神が存在し、王族は神の化身とみなされた。
弱肉強食の時代、ですね。極端な自己責任論と同じ。結果論というか、勝てば官軍というか。
③中世:一神教
帝国の出現→抑圧される人々の増加→人間の弱さに着眼した仏教・キリスト教・イスラム教が発生。武力による世俗権力(王権)対一神教の共同体(教権)の複雑な相互関係に発展した。
弱肉強食が当然の世界に異議が唱えられたわけですね。ちょっと待て、こんなのおかしくないか?と。これは今のDEIの流れにも合う気がします。全ては相互補完なんです、たぶんね。
④近代:国家主権
教権の行き過ぎ→教皇主権→宗教改革。結果、善悪二元論ではなく三権分立のようなチェックアンドバランスのシステムが確立。法は、“神聖性・永遠性・無謬性のオーラ“から、“個人や団体間の諸権利を調整するための手段の一つ“となった。
我々が生きている世界ですね。いやあ、勉強になりました。ある程度は学生時代に習ったはずなんですが、何も覚えていません。三権分立という言葉は覚えても、歴史的背景はまったく考えてきませんでした。学校の先生は歴史の奥深さを語っていたのでしょうが、当時の私では理解する能力が足りなかったようです。
今の我々は過去の歴史(原因)の結果であり、かつ、未来の歴史(結果)の原因である、ということですね。いやあ、奥が深い…。
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