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組織と人6+ストラテジー5: アリババから考える中国の歴史

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今日は別々の授業を受け持つ教授がコラボレーションしてくれまして、とても面白かったです。アリババのケーススタディを、組織論とストラテジーのそれぞれから検討しました。生徒にとっても刺激的でしたが、教授にとっても、他の教授の授業に参加するのは刺激的なのではないかと思います。

アリババとは
B2Bの電子商取引プラットフォームからスタート。その後、顧客からの要請に応える形でC2C、物流、金融、動画配信、検索と進出を果たし、中国最大のテクノロジー企業となりました。

ジャック・マー
風貌・言動ともに個性的です。テクノロジーのバックグラウンドを持たずにテクノロジー企業をここまで大きくしたと言うことが、私にとって印象的でした。ジャック・マーの成功譚をまとめたビデオを見たのですが、カリスマを中心としたカルト的な集団だったのだなと感じました。ビデオは2007年ごろまでの記録で終わりましたが、その後アリババはさらに成長を続け、彼は中国1の実業家となりました。

ジャック・マーのその後
ケーススタディではいかに彼らが成功したのかに焦点を当てていましたが、私の興味はジャック・マーのその後でした。彼は絶頂期の2020年に中国当局を批判したことで、表舞台から消えました。この出来事を「中国共産党のメンツを潰して怒らせたからだ」で済ませることは簡単ですが、なぜこのようなことが起こったのかを、歴史も踏まえて理解したかったのです。

ニックネーム文化の捉え方
授業としてケースとビデオしか見ていませんから、成功要因を中心に考えるわけです。ここで、ニックネーム文化が取り上げられました。成功要因と結びつけるわけですから、「ニックネームで呼び合う=仲良し=オープンマインド=良い組織文化」と言う風な発言が出てきます。当然の流れですよね。
ここで中国をよく知るクラスメイトが異議を唱えます。「ここでのニックネームの意味は、権威づけであり順位づけなのだ」と。

中国の考え方
中国は権威主義で面子を重視することは感覚としてわかっていました。共産党大会でも、座る場所等で明確な順位づけがあります。このニックネーム文化はある種の順位づけであり、ジャック・マーを皇帝のように扱い、ニックネームの種類で序列を表しているのです。よってアメリカ人のファーストネームで呼び合う文化とは、根本的に違う意味を持ちます。

政府・歴史・経済と紐づけて考える
そのクラスメイトが語ってくれた言葉と、ジャック・マーが表舞台から消えた理由を自分なりに解釈すると
① 中国は歴史的に皇帝がいる。皇帝という言葉に特別な響きがあり、人々は尊敬の念を持っている。
② 中国政府は国の統制のために“絶対的なパワー“を人々に示す必要があり、自分たち以外の権力に対して非常に敏感である。
③ とはいえ、中国の経済発展のためにはある程度の自由・富・力を一般人に与えて働いてもらう必要がある。
④ 中国政府はジャック・マーにもその自由を許容したが、彼のビジネスが上手く行き過ぎたこと、そして民衆にとっての皇帝(カリスマ)になってしまったことに強い懸念を持った。
⑤ ジャック・マーが中国政府を批判したことをチャンスと捉え、彼を表舞台から引きずり下ろしたことで、皇帝のようなパワーを低下させた。同時に、他の成功者に対して「お前達も調子に乗ったらこうなるぞ」という暗黙のプレッシャーを与えることに成功した。

私の憶測が含まれているので正確性は保証出来ませんが、アリババの戦略そのものよりも、それを取り巻いた民衆の考え方、これまでの経済政策の成功、政治的思想との兼ね合い、タイミング等、壮大な歴史物語を感じた授業でした。

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