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買収、合併、再編0:プライベートエクイティファンド(PE)の台頭

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さて、明日からブロックウィークという、同じ科目を集中的に1日6時間×5日+毎日グループ課題付きという一種の地獄が開幕します。そのための読み物を読んでいるのですが、なかなか興味深い。プライベートエクイティファンドの歴史や意義について書かれていましたのでご紹介。

プライベートエクイティとは
我々はS&P500がどうだとか日経平均がどうだとかというニュースを見聞きすると思いますが、それは株式市場のお話です。株価が上がった下がったというのは、その会社の株式が取引できる市場に公開されているからです。なので上場している会社は公開株です。一方で株式市場で取引されていない会社がいます。これが未公開株です。プライベートエクイティファンドは未公開株の会社を買収して経営を改善して、買い取った価格よりも高い価格で売却して利益を得る、という仕事をしています。とにかく就職先として人気なんですよね。給料がめちゃくちゃ高いから。

1980年代:レバレッジド・バイアウト(LBO)
プライベートエクイティの人気が出た時の経営手法がこちら。一言で言えば、ほとんどが負債で賄われる買収のことです。業績の悪い会社や部門を借金して買い取って、業績を改善して借金を返しつつ、企業価値を高めてキャピタルゲインを得る、というもの。

リミテッドパートナーシップ
多額の借金をして中期的に経営を改善したいわけですが、市場に公開されていたら気まぐれな短期投資家からは嫌われます、長いこと構造改革に時間がかかるようだったら、投資してもらえませんから。よってリミテッドパートナーシップという会社形態にして非公開化することで、安定性を確保して、かつファンドマネージャーの利益配分を明確にできるようにしました。

公開企業としての不満
プライベートエクイティが勃興する背景の一つとして、1980年代当時に公開企業がそのあり方に苦しんでいたことが挙げられます。株主と経営者の間の軋轢が高まった時期でもありました。

ファンドの構造
プライベートエクイティファームとファンドは切り分けて考える必要があります。プライベートエクイティは会社で、ファンドはリミテッドパートナーシップとして運営される子会社なのですが、重要なのは、ファームはファンドの活動に責任を負わない=限定責任、ということです。ファンドの従業員はパートナーとして、個人としてファンド全体の1-3%を拠出します。あとは投資家からお金を集めてきます。いずれにしても、その会社がダメになったら自分の資産も失う、という前提で行います。

投資家募集
だいたい投資家を見つけるプロセスは1,2年かかるようで、その後にファインドが設立されます。

利益の分配
投資利益はジェネラルパートナー、パートナー、ファームで分配されます。まずファームが利益が20%出る時点まで受け取り、その後パートナーが利益をもらい、最後にジェネラルパートナーが利益をもらいます。また、手数料が投資額の1-2%とられます。投資額が大きければ、その手数料だけで半端ではない給料がもらえます。

経済にもたらす価値はあるか?
支持者:LBOは、他社が見放した事業に価値を創造する
非支持者:倒産を延命している(撤退前で8%、撤退後も10年以内に20%が倒産)。手数料高すぎる(例えば1千億円のファンドなら手数料1%で10億円)。利益相反(ファンド撤退までに短期的に価値を上げたいファンドvs.長期的に健全的な成長をさせたい経営者)

批判的なコメント
「PEのビジネスモデルは、投資先企業やPEファンドからの収益をPE会社に上向かせるように設計されている。業績が悪い時には、投資家が支払う高額な管理手数料と投資先企業が支払うモニタリング手数料で利益を上げる。カジノのハウスのように、プライベート・エクイティ・ファームは決して負けることはない」本当にそうなら、この仕組みを作った人は天才的ですね。

ベンチャーキャピタルとの収益性比較
資料が1984年から2008年までと古いからなんともいえませんが、傾向として言えるのは、ベンチャーキャピタルのほうが上下の振れ幅が大きいということです。いいときはいいけど、悪いときは非常に悪い。一方でPEは比較的安定的に収益を上げている。

さて、宿題はここまで。プライベートエクイティはいいのか悪いのか、みたいな議論をすることになるのかな。産業の新陳代謝という意味では素晴らしいのではないでしょうか。競争力を上げて、駄目なら新しい産業へ向かわせる、というその機能。買収される会社で働く人にとっては、大変なことが多いと思いますが。。。

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