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ゲーム理論4:明日、私を愛してくれる?

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3日連続でパーティに行くと体力の限界を迎えるということがよくわかりました。これが41歳の限界。しかし疲れていてもゲーム理論は面白い。冒頭の文言はゲーム理論的であるかどうか、授業の最後で説明がありました。今夜の行動が将来もこの愛を続けるかどうかという戦略的決定にどう影響するか、不確実性の排除や心理的安心はゲーム理論的なのかどうか。

交互進行ゲーム
今日は交互進行ゲームの紹介から。これはチェスのように、ある順序に従ってお互いの行動を見ながら行動するゲームのことです。
プレーヤーは、自分の行動に対し次に相手がどう出てくるか、それに対して自分はどう対応するか、先を読みます。
特徴1.順番に基づく決定:プレイヤーは決められた順序で動き、先行するプレイヤーの選択を見てから自分の行動を決定します。
特徴2.情報の透明性:ゲームの流れは透明であり、プレイヤーは過去のすべての動きを知ることができます(完全情報の場合)。
特徴3.戦略の展開:プレイヤーは、相手の選択に基づいて自分の戦略を調整する必要があります。これには、予測、計画、そして時には相手を欺く戦術が含まれることもあります

完全情報と不完全情報
完全情報(Perfect information)とは、すべてのプレイヤーがゲームの全ての側面を完全に知っており、他のプレイヤーの過去の全ての選択や現在の状況を正確に認識している状況です。
例えば、チェスは完全情報ゲームです。両プレイヤーは常にボード上の全ての駒の位置を見ており、相手がどのような動きをしたかを正確に知っています。これに対して、ポーカーは不完全情報ゲームです。プレイヤーは他のプレイヤーの手札を見ることができず、完全な情報を持つことはありません。

ゲームツリー
上記の交互進行ゲームには、ゲームツリーという手法が便利です。ゲームツリーとは、プレイヤーの行動する意思決定経路を整理する方法ですが、簡単にいうと、「この場合ならこのプレーヤーたちが取る行動はこれ」という、分岐点ごとの選択肢を書いていって、最後の結論がさかのぼって結論を出す手法です。

先攻か後攻か、どちらを選ぶ?
とりあえず後攻を選ぶという人もいると思うのですが、それぞれやれることに違いがあります。先攻はゲームのルール作りができます。こちらが動くことで、相手に動くことを強制できます。ただし、リスクをとってコミットすることが求められます。一方で後攻は相手の動き方に合わせて動くことができます。選択肢のオプションはこちらの方が多いですが、そもそものゲームを先に規定されてしまうリスクがあります。

大きい方が先に動く論理
大きい国と小さい国、大きい会社と小さい会社。どちらが先に動いていますか?たいていの場合は大きい国や会社が先攻です。かれらがゲームを規定します。そして、小さい国や会社が、相手の動きに合わせて自分の選択を決める。そして、小さいなりに自分の取り分を増やしていく、というのがゲームの流れです。

ホールドアップ問題
これは、契約や取引において、一方の当事者が他方の当事者に対して不釣り合いな力を行使する状況を指します。特徴としては、
1.関係特異的投資:企業や個人が特定の取引関係のために大きな投資を行う場合、これらの投資は他の用途には転用できないことが多く、投資が固定されてしまいます(サンクコスト)。このような投資を行った後、投資者はその取引関係に依存する形となり、相手方に交渉で不利な立場に立たされることがあります。
2.契約の不完全性:多くのビジネス契約は、将来のすべての可能性を予見し、規定することは不可能です。そのため、予期せぬ状況が発生したときに契約の再交渉が必要になることがありますが、これがホールドアップのリスクを高めることにつながります。
3.情報の非対称性:契約の一方がもう一方よりも多くの情報を持っている場合、情報が少ない方は不利な条件を受け入れざるを得ない状況に陥ることがあります。

ホールドアップ問題の例
建設業界:建設プロジェクトにおいて、特定の機械や材料を特定のサプライヤーからのみ調達する場合、そのサプライヤーが価格を不当に引き上げる可能性があります。
自動車産業:自動車メーカーが特定の部品製造業者との間で独占契約を結んだ場合、その部品製造業者が将来的に価格を上げることでメーカーを困らせる可能性があります。
家のリノベーション:3週間でやると言って工事が始まったけど、結局6週間にされた、とかもそうです。こちらは業者変えようがない。

お前やれんのか?やれます!の関係性
労使交渉のステップが交互進行ゲームで説明されました。結論(妥結)のポイントは分かっている。そこに向けて何を交渉材料として進めていくのか。結局は①お互いにこれがどのようなゲームなのかわかっていて ②やりますと言ったことを本当にやり ③それをお互いが信頼しあえるような関係がないと、落としどころにはたどり着きません。

明日、私を愛してくれる?
これはCarole Kingの”Will you love me tomorrow?”という曲です。
①以下はゲーム理論的です。
「今夜、君は完全に僕のものだ。あなたはとても甘く愛を与える。今宵、あなたの瞳に愛の光が宿る。でも、明日は私を愛してくれる?」

②以下はゲーム理論的ではありません。
「あなたの愛が確信できる愛なのか確かめたい。だから今教えてくれれば、もう2度と聞かないから。明日も私を愛してくれる?」

さてなぜでしょうか?ゲーム理論は、互いの選択が相互に依存し合う状況、特に将来的な報酬や結果に関する不確実性をどのように扱うかについての理論です。①は、愛を表現することが直接的な利益(今夜の愛情の表現としての報酬)につながる一方で、未来(「明日も愛してくれますかか?」)に対する不確実性に言及しています。ゲーム理論の観点からは、この不確実性が戦略的な決定(愛を続けるかどうか)にどう影響するかを考えています。つまり、今夜の行動が将来にどう影響するか、という相互依存の状況が示されています。

一方で②は確実性を求める要求が表現されています。「今教えてくれれば、二度と聞かない」という文言は、将来の不確実性を取り除くことに重点を置いており、ゲーム理論の観点からは戦略的な相互作用よりも、確実性や保証を求める心理的な安定を優先していると言えます。ここでは、相手の反応や選択に基づく戦略的な考慮が排除され、単に確信を得ようとする姿勢が示されています。

今日も長いですね。でも、愛も企業戦略も政治も一つの理論で語るって、やっぱり面白いです。

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