今日は製薬会社のタケダがケーススタディの題材でした。日本企業で唯一と言っていいほど、会社の仕組みを根本的にグローバル組織に変えた会社。
まずは、当時のタケダが置かれていた状況の分析から始まります。国内市場が縮小していく中で日本での売上構成が大きかったことや、新薬開発がうまくいっていなかったこと、試験研究体制の見直しが必要だったことなどが描かれていました。
そして、海外マーケットをメインにすること、日本中心の新薬開発をやめて様々な創薬ベンチャーとパートナーシップを組むという戦略が描かれ、その戦略を実行するために企業統治の仕組み=取締役会を抜本的に変える姿が描かれています。
目に見えるパフォーマンスという観点でいうと、構造改革当初の2014年から足元まで、株価はほぼ横ばい。構造改革をしていなかったら悪くなっていたのかもしれないし、もしかしたらしなくても結果は一緒だったのかもしれない。その評価は分かりません。
教授からの質問の一つに、「なぜ多くの日本企業が同じような状況に直面している中で、タケダだけがこのような構造改革ができたのか」というものがありました。そこには改革を指揮した長谷川社長を中心とした功績が回答として提示されるのですが、私の感覚としては、その前の社長である、創業家一族である武田社長の意思のほうが大きいのかなと思いました。
やりたいか、やりたくないか
なぜ武田だけがこのような構造改革をできたのか。それは、創業家出身の武田社長が海外勤務が長く、このままじゃ勝てないという危機感をもとに、会社を変えたかったから、だという風に、私は感じました。つまり、それをやりたいのか、やりたくないのか。意思があるか、ないか。将来像を描けるか、描けないか。それが、一番の違いなのかなと思います。
というのは、取締役会の構成を変えるとか、パートナーシップを組むとか、研究所を減らすとかっていうのはあくまでもテクニカルな話で、トップがどういう姿にしたいのかというビジョンがキーポイントだと思うからです。
個人も全く同じかな、と。どんなスキルを身に着けるかとか、どんなキャリアのステップを昇って行こうかというは、あくまでもテクニカルな話。やりたいのか、やりたくないのか。やりたいなら、手段は後からついてくる、ということだと思いました。