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世界経済3:アフリカ、「絶望」から「希望」への道

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かつて「絶望」と称されたアフリカは、今では「希望」という表現が多く使われるようになりました。アフリカの経済は、歴史的および構造的な課題へ取り組んでおり、その潜在能力は巨大だ、とみられています。

一方で、アフリカは昔からずっと「これからはアフリカの時代だ」と思われつつも、これまで成長軌道を描けていないのも事実。いつまで「潜在」のままなのか。そして、それはなぜなのか。

「絶望」と思われた理由
・民族分裂:植民地時代のアフリカ分割政策により引かれた国境線は、民族が分断され、人為的に作られた国境線が残されました。新たに作られた人為的な国の中に、複数の民族が分断して存在する状態が続いています。民族間の対立が根強く残っていることが、国家の結束を妨げ、対立、隔離、不平等は政治の不安定化と紛争を招き、経済成長を妨げています。

・資源採取のみで行政システムを開発しなかった: 植民地支配国が築いた資源採取中心の制度は、植民地後の自治の機能不全を招きました。通常、植民地化されるといろんな行政・公的システムが輸入されて、それが国の発展の基盤になることが多いのですが、アフリカでの植民地政策はそうではなくて、資源だけいただいて、システムを導入しなかった。

・脆弱な統治能力:上記とあいまって、契約の履行、税金の徴収、公共財の提供といった国家としての基礎的な能力は、多くのアフリカ諸国で脆弱なままで、深刻な汚職が残ります。

・経済の脆弱性:アフリカ経済は歴史的に一次産品輸出に依存してきたため、世界市場の変動に非常に敏感。資源が豊富で羨ましいことでもあるのですが、この豊富な資源頼みなシステムが、二次産業、三次産業への移行を遅らせている側面があります。

それでもなお、「希望」と思われる理由
・人口の増加:12億人を超える人口と若く活力のある労働力を擁するアフリカでは、人口増加が経済拡大の原動力となり、特にテクノロジー、製造、サービスなどの分野で経済成長が促進される可能性があります。ただし。人口の増加=競争力の増加ではありません。いかに「適格」な労働者が増えるかが問題です。なので、教育をばっちりやらないと、経済向上には結びつかないでしょう。

・技術面でのキャッチアップ:アフリカには、デジタルイノベーションを通じて従来の発展プロセスを変えるかもしれません。例えば、モバイルマネーはアフリカ大陸全体の金融サービスを変革しました。同様のことが、教育、医療、農業の成長を促進する可能性があります。製造業に移行するステップをすっ飛ばしてそんなことがありうるのか、なんともいえませんが。

・ガバナンスの改善:別のコーポレートガバナンスの授業からの抜粋ですが、ガバナンスとは①誰が権力を持つのか、と ②誰が説明責任を果たすのか のバランスです。そのためには、アフリカ諸国の首脳が、権力を行使するだけではなく、透明性、説明責任、政治的安定性を向上させることが必要です。

・地域統合:アフリカ大陸自由貿易地域(AfCFTA)のようなイニシアティブは、アフリカ域内の貿易と経済協力の促進に役立つ可能性があります。貿易と投資を促進することで、地域統合は経済成長を加速させ、外部市場への依存を減らすことできるかもしれません。

じゃあ、結局どうするの?
・制度の強化:国家能力の構築、ガバナンスの改善、汚職との闘いに投資する必要あり。
・人的資本への投資:教育、医療、技能開発が、「適格」な労働者を増やす前提。
・富の再配分:経済的利益が公平に分配されることを保証することは、社会の安定を維持するために不可欠。

結論
希望はあるし、潜在能力も高い。問題は、それがいつ顕在化されるのか、ということではないでしょうか。上記のように課題を分解していくと、解決するのには時間がかかりそうです。そもそもアフリカとひとくくりにするには大きすぎるし、誰かがリーダーシップを発揮して結束するのも難しい。それぞれの国のばらつきも大きい。公的制度が整わないまま、資源はとにかくあるから依存から抜けきれないことが汚職を招く。人口は増えているけど教育は追いついているのかどうかはわからない。

アフリカの歴史、もっと勉強しないと、ですね。アフリカを知るとき、欧州、米国、旧ソ連、中国が何をしてきたか、そして今から何をしようとしているのか、理解することになるでしょう。

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