中国の経済は1980年代以降、急速に世界での存在感を高め、30年以上にわたり大きな経済成長を遂げてきました。今日の授業では、その成長の背景、改革の歴史、現在の課題について詳しく掘り下げられました。
1.中国経済の成長の歴史
中国の経済発展はの背景には、改革と構造的な変化があります。1980年代から2010年代にかけて、中国は平均して年間8%の経済成長を記録しており、世界で最も急成長した国のひとつです。この成長は、主に以下の要素に支えられてきました。
・巨額の投資:インフラ整備や工業化に多額の資金投資され、都市部では高層ビルや交通インフラが整備されました。
・人的資本の充実:教育の普及と技術者の育成により、生産性が向上しました。
・外資の導入:改革開放政策により、外資系企業の進出が加速。特に製造業において、外国企業の投資が国内経済に大きく寄与しました。
2.中国経済の変革の歴史
中国の経済発展は、2つの重要な時期に区分されます。
・共産主義時代 (1953-1978)
1950年代から1970年代にかけて、中国は共産主義体制のもとで中央集権的な経済計画を進めました。しかし、大躍進政策(1958-1960)や文化大革命(1966-1976)などの政策が上手くいかず、農業生産性の低下や飢饉が発生。この時期の中国経済は停滞し、貧困に陥りました。
・改革開放以降 (1978-現在)
1978年、鄧小平が中国を市場経済に導く「改革開放」を開始しました。この改革により、中国は中央集権的な経済から、徐々に市場経済を取り入れる形に転換しました。農業改革が最初のステップであり、その後、都市部や国有企業の改革が続きました。
・農業改革:農業生産性を高めるため、農民は生産した農産物を自由に市場で販売できるようになり、農業部門が大きく活性化しました。
・国有企業の改革:国有企業の一部は民営化され、経営効率を高めるための市場化が進みました。
3. 現在の課題と今後の展望
中国の今後の成長を左右する要因は以下の通りです。
・グローバル・インバランス(世界的な不均衡):中国は世界最大の輸出国として、貿易依存度が高い経済です。輸出は経済成長の大きな原動力でしたが、輸出依存型の成長モデルが終わりつつあります。
・国内需要への転換:そこで政府は、輸出から国内需要への転換を進めていますが、内需を拡大するためには、消費者の購買力向上や、都市部と農村部の格差是正が重要と考えられています。
・不平等の拡大:経済成長の恩恵は均等に行き渡っておらず、特に農村と都市間の所得格差が深刻です。この格差は、社会不安や政治的不安定の要因となる可能性があります。
・再工業化とサービス化:中国は古くなった産業設備の更新が進み、製造業からサービス業へのシフトも加速していますが、さてどうなるか、というところです。
4.中所得国の罠に陥るか、このまま伸びるのか
ここからは、経済のプロの友達からもらった意見を拝借。教授は授業の中で、これを示唆していたように見える、という意見が面白かったので調べてみました。今日のタイトルはここから来ました。私には見えなかったのですが、彼には見えている。
中所得国の罠(Middle Income Trap)とは、国が中所得の段階に到達した後、高所得国に成長することができず、経済発展が停滞してしまうことです。この罠に陥った国は、工業化によって急速に成長した後、技術革新や産業構造の高度化が不足し、生産性の伸びが止まり、経済成長が鈍化します。これにより、国民の生活水準がそれ以上向上しません。
中所得国の罠の特徴
・安価な労働力の終焉:低賃金労働に依存した成長は限界に達し、賃金が上昇することで国際競争力が失われる。
・技術革新の停滞:生産性の向上に不可欠な技術開発や研究開発への投資が十分でない場合、付加価値の高い産業へ移行できない。
・経済格差の拡大:経済成長の成果が均等に行き渡らず、富裕層と貧困層の格差が拡大することで、社会的・経済的な不安定要因が増大する。
中国は上記の3つの特徴に当てはまっているように見えます。が、中国政府はそんなことは百も承知でいろいろな手を打っているのでしょうから、ここから成長を続けるのかもしれないし、成長は止まるのかもしれない。うまく行こうが行くまいが、影響力は甚大ですから、常に注視し続けることが必要ですね。
世界経済4:中国:あなたに見えて、私に見えないもの

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